相続放棄の期間
1 相続放棄が認められる期間
相続放棄ができるのは、原則として、相続が起きたことを知ってから3か月間と決められています。
これを熟慮期間といいます。
熟慮期間が過ぎてしまうと、基本的には、相続放棄が認められなくなってしまいます。
相続財産の調査に時間がかかるなど、事情がある場合は、家庭裁判所に熟慮期間の延長を求めることができます。
参考リンク:裁判所・相続の承認又は放棄の期間の伸長
2 相続放棄の期間内に申述書を提出する
相続放棄を行う場合には、3か月の期間内に、家庭裁判所に、相続放棄の申述書を提出する必要があります。
期間内に申述書を発送すれば良いのではなく、期間内に申述書を家庭裁判所に届けなければなりません。
期間の直前に相続放棄を行う場合には、念のため、家庭裁判所の窓口に直接、申述書を提出しに行くことをおすすめします。
家庭裁判所の通常の窓口の時間は午後5時までですが、午後5時を過ぎてしまったとしても、その日の午後11時59分までに裁判所の夜間窓口に提出すれば、間に合います。
もっとも、夜間窓口が分かりにくかったり、そもそも夜間窓口がない支部があったりしますので、午後5時までに通常の窓口に提出するのが安全でしょう。
提出先となるのは、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所です。
支部に管轄がある場合は、支部に提出する必要があります。
3 熟慮期間後に相続放棄が認められる場合
相続が起きたことを知ってから3か月が過ぎてしまった場合には、相続放棄は認められません。
ただ、例外的に、①相続財産や債務の存在を知らなかったこと、②これらの存在を知らなかったことについてやむを得ない理由がある場合には、相続財産や債務の存在を知ってから3か月間は、相続放棄が認められる可能性があります。
やむを得ない理由がある場合とは、例えば、被相続人との交流が乏しかったため、相続財産や債務の存在を知らなかったとしても仕方がないと言えるような場合です。
過去の裁判例では、相続財産や債務の存在をまったく知らなかった場合に、相続放棄を認めたものがあります。
また、相続財産や債務の存在を知っていたとしても、知っていた相続財産や債務が僅かなものであり、大部分の相続財産や債務については知らなかったような場合においても、相続放棄が認められた例があります。
もっとも、このような場合に相続放棄が認められるかどうかは、ケースバイケースとなることがありますので、弁護士にご相談いただくのがよいかと思います。
当法人でも相続放棄についての相談を承っておりますので、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。