おまとめローンと任意整理の違い
1 おまとめローンとは
おまとめローンとは、複数の金融業者から借入れがある場合に、債務の一本化(債権者を減らす)するために行われている貸付けのことを言います。
例えば、4社から借入れをしている場合に、4社からの借入金額総額分を他社(A社)から借入れ、既存の4社を完済し、以降はA社のみに返済していくと言ったものです。
2 任意整理とは
任意整理とは、債務整理手続きの一つで、借入先である各債権者と話し合いをして、返済方法などについて見直しをするものです。
3 おまとめローンと任意整理の違い
相談者の中には、おまとめローンと任意整理を一緒と考えている方もいらっしゃいますが、以下のような違いがあります。
⑴ いわゆるブラックリスト
おまとめローンについては、新たに借り入れを行い、既存の債務を返済することになりますので、支払停止等はありません。
そのため、おまとめローンした分の返済を続ける限り、いわゆるブラックリストにはなりません。
これに対し、任意整理は、一旦支払いを停止し、各債権者と交渉を行うことになりますので、いわゆるブラックリストになります。
⑵ 返済額
任意整理の場合は、債権者にもよりますが、和解成立後については元金のみの返済で、将来利息を付加しないことが多いです。
これに対し、おまとめローンは、新たな貸付けに過ぎませんので、将来利息が付加されますので、結果的に、任意整理の場合よりも多く返済を要することがあります。
⑶ 債権者の数
おまとめローンの場合は、債務の一本化ということですので、債権者の数が減少します。
これに対し、任意整理は、各債権者と返済方法について話し合いをするので、債権者数が減少するわけではありません。
振込等の手続き面倒なため、債権者を減らしたいということであれば、任意整理よりもおまとめローンの方が向いているのかもしれません。
⑷ 方針変更する場合
仮に、将来的に返済が困難となり、債務整理を行う・方針変更を行うとなり、個人再生手続きを取ろうとした場合、おまとめローンと任意整理では異なってきます。
小規模個人再生手続きの場合、債権者の過半数もしくは債権額の過半数を超える債権者の同意が得られなければ、再生計画案の認可を得ることができません。すなわち、小規模個人再生の手続きを取ることができません。
おまとめローンにしている場合、1社が債権額の過半数を超えることになることが多く、当該債権者が反対することにより小規模個人再生の手続きを取ることが出来なくなることがあります。