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「自己破産」に関するQ&A

自己破産すると、保険は解約しなければいけませんか?

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2021年3月26日

1 自己破産すると一定の財産は処分が必要です

自己破産手続きは、一言で言えば、破産者の財産を処分し、債権者に配当を行い、残りの債務を免責するという手続きになります。

つまり、換価しうる財産は処分し、お金に換えることになります。

そのため、破産者が加入している保険も換価が可能であれば、処分の対象とされます。ただし、すべての保険が換価・解約の対象となるわけではありませんので、以下、場合を分けて検討していきます。

2 保険の種類

保険といっても、生命保険、傷害保険、自動車保険、火災保険、地震保険などさまざまあります。

また、掛け捨ての場合もあれば、解約返戻金の生じる積立型の場合もあります。

3 掛け捨ての保険の場合

掛け捨ての保険の場合は、解約したとしても、お金に換えることができません。

そのため、財産価値は0となりますので、自己破産するとしても、解約する必要はありません。

4 解約返戻金が生じている場合

⑴ 解約返戻金額に注意

解約返戻金額が20万円以下の場合、津地方裁判所における取り扱いは、換価を要しないとされています。

逆に、20万円を超える場合は、原則として換価対象となりますので、解約をする必要が出てきます。

ここでの注意点は、20万円の基準額は、保険契約が複数にわたってある場合には、複数の契約における解約返戻金の合計額が20万円を超えるか否かで判断されます。

⑵ 解約返戻金額が20万円以下の場合

上記のとおり、津地方裁判所における取り扱いによれば、保険を解約せずに手元に残すことができます。

ただし、別の財産との関係では残せないケースもありますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

⑶ 解約返戻金額が20万円を超える場合

原則としては、解約に、解約返戻金を破産財団に組入れ(管財人に交付し)、配当等に充てることとなります。

⑷ 解約返戻金額が20万円を超えても手元に残せる場合

保険は、万が一のことがあったときに備えるための大切なものです。

そこで、解約しなくても良いケースがあれば、解約しないでおきたいものです。

解約返戻金額が20万円を超える場合は、上記のとおり、原則としては換価(解約)対象となります。

しかし、自由財産の拡張を求めることにより、解約しなくても良い場合もあります。

例えば、保険の解約返戻金以外にほとんど財産がなく、また、健康状態や年齢等からすれば新たな保険に加入することが困難な場合などの条件を満たす場合には、保険を解約しなくても良いことがあります。

5 解約した場合、新たな保険に加入できるのか

自己破産したとしても、新たに保険に加入することはできます。

自己破産した場合、信用情報に事故情報として登録されますが、例えば、生命保険に加入する場合には、このような信用情報の審査ではなく、年齢や健康状態などが審査対象となります。

そのため、自己破産し信用情報に事故情報として登録されていることを理由として、新たに保険に加入できないということは原則としてありません。

6 まずはご相談を

上記の説明は、あくまでも一般的な大まかな説明にすぎません。

個々の状況により、異なることもございます。

そこで、まずは弁護士等にご相談されることをお勧めします。

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