年金分割2

年金分割は,協議によって行うことができます。
離婚する夫婦間で分割割合を決め,決まった割合に基づき年金分割の手続を進めるのです。

ただ,離婚について法的な争いがあった場合等,合意が困難な場合もあります。
この場合には,家庭裁判所で調停・審判を行い,分割割合を決めることができます(協議が難しい場合,調停でも決着がつかないと見込み,最初から,審判申立をしてしまうことが多いように思います。)。

年金分割には,離婚成立後2年以内に手続を行わなければならないという制限があります。
協議が困難な場合には,年金分割審判申立を検討することになりますが,この場合には,離婚成立後2年以内に審判申立を行う必要があります。
また,年金分割審判が確定してから1か月以内に,年金事務所において,年金分割の手続を行う必要もあります。
年金事務所での手続に際しては,自分と元配偶者の戸籍等,必要書類を揃えておく必要があります。
本籍地が遠くである場合,戸籍を郵送で取得するだけで時間がかかってしまいますので,計画的に行動する必要があります(松阪市から関東の戸籍を郵送で取得する場合,速達を使ったとしても,最低でも1週間はかかってしまいます。)。

弁護士として審判手続を受任する場合には,このような期間制限の存在についてもお伝えしています。
場合によっては,戸籍等の必要書類の取得,年金事務所での手続の代理等もさせていただいております。

年金分割1

離婚の際には,慰謝料や財産分与等,財産に関する取り決めを行わなければならないことは,広く周知されつつあります。
ただ,年金分割については,年金事務所へ出向いて手続を行わなければならない(代理人を立てない場合)等,特別な手続を行う必要があるためか,離婚に際して取り決めが行われないことが多いように思います。

年金分割は,配偶者の年金保険料の納付実績を分割する制度です。
相手方が厚生年金や共済年金に加入しており,自分より多い保険料を払っていた場合には,将来,相手方が受け取る年金が,自分が受け取る年金よりも多くなります。
この場合に,相手方が納付した年金保険料の一部を,自分が納付したものとし,将来受け取ることができる年金を多くする制度が年金分割です。
いわゆる3号被保険者の場合は,合意を行う必要はありませんが,そうでない場合は,離婚する夫婦間の合意により,分割割合等を決めることになります。

年金分割の手続を行うには,年金事務所に赴き,手続を行う必要があります。
このとき,離婚に際して作成した公正証書や,離婚調停の調書等,必要書類を提出する必要があります。
弁護士会の相談等では,しばしば,年金分割の手続の具体的な進め方について,質問されることがあります。

登記関係の訴訟2

登記関係の訴訟を行う場合,重要なのは,どのようにして,売買契約や贈与契約が行われていないことを証明するかということです。
たとえば,売買契約書や贈与契約書が他の人によって勝手に作られた場合,どのようにして,登記の抹消を求めればよいのでしょうか。

まず考えられることは,登記申請の際に提出された書類を確認することです。
登記申請に際しては,売買契約書等,実際に契約時に当事者が署名・押印した契約書が提出されている場合があります。
また,契約書自体ではなかったとしても,売渡証書等,代わりに契約の成立を証明する書類が提出されています。
これらの書類について,自分以外の人間が署名・押印している場合は,書類が偽造されたとの主張を行う余地が生じます。

登記申請書等については,法務局において,10年間保存されています(平成20年7月以降は30年間)。
これらの書類については,法務局の窓口において,閲覧(写真撮影も可)することができます。

閲覧ができる法務局は,実際に申請が行われた法務局です(松阪市の法務局で,全国の申請書が確認できるわけではありません。)。
このため,事案によっては,遠方の法務局へ赴く必要があります。

このように,書類の保存期間が設けられていますので,登記に関する問題が生じた場合には,早目に証拠を手元に残すよう,手続を行った方が良いと言えます。

登記関係の訴訟1

土地,建物を売買したり贈与したりする場合,法務局で,売買や贈与を行ったことの登記を行う必要があります。
これは,売買や贈与の結果,誰が新しい所有者になったのか等を,公的に明らかにする必要があるからです。

登記を行う場合には,法務局において,登記申請書とともに,売買契約書等,所有権が移転したことを証明する資料等を提供する必要があります。
これらを受け取った法務局は,登記申請書や契約書等に形式的な不備がないかを審査し,問題がなければ,登記を行うことになります。

ここで注意しなければならないのは,法務局は,登記申請書や契約書等の形式的審査を行うだけであるということです。
法務局は,これらの書面を受け取ると書面の字面を確認するのですが,買主や売主に聴き取り調査を行うこと等により,本当に契約が行われたかどうかの確認をすることはありません。
ですから,実際には,売買契約や贈与契約が行われていないにもかかわらず,法務局に偽造された契約書等が提出されることにより,法務局は,基本的に,所有権が移転したとの登記を行ってしまうのです。
また,判断能力がないにもかかわらず行われた契約や,強迫により行われた契約等,契約自体に法的に問題があるかどうかについても,通常,法務局で確認が行われることはありません。

このため,すでに売買や贈与の登記が行われた場合であっても,これらの契約が実際には行われていなかったとして,登記の抹消を求められる方が,しばしばいらっしゃいます。
そして,実際には,これらの契約が行われていなかったと認められる場合には,抹消登記手続請求訴訟等により,登記の記載が是正されることになるのです。
弁護士として仕事をすると,しばしば,このような登記関係の案件を扱うこととなります。

夏休み

裁判所には,夏休みのようなもの(夏期休廷)があります。
ただし,裁判所は,裁判官毎に別々の時期に休みをとりますので,裁判官が複数の裁判所の場合,裁判所自体が閉まってしまうことはありません。
また,裁判官によっては,夏期休廷も裁判所に来て,起案等をされる方もいらっしゃいます。

ですから,弁護士の側は,個人的にこの当たりで休みを取ろうと計画を立て,その間は裁判を入れないこととすることで,夏休みを確保することになります(それか,夏休みはないものとします)。

公正証書3

公正証書を作成するメリットは,もう1つあります。
お金を払ってもらう内容の公正証書については,「直ちに強制執行を受けても異議のないことを承諾する」等の文言を入れることにより,相手方が支払わなかった場合には,強制執行の申立を行うことができます。

私的な合意書の場合,合意書を交わしただけでは,すぐに強制執行の申立を行うことができるわけではありません。
強制執行申立を行うためには,裁判所で,和解金支払請求訴訟等を提起し,判決等をもらう必要があります。
これに対して,公正証書の場合,裁判所で判決等をとらなくても,強制執行の申立を行うことができ,時間的にも費用的にも節約ができることになるのです。

ただし,お金を払う内容の公正証書ではない場合(建物を明け渡す等)については,公正証書を作ったからといって,すぐに強制執行を行えるわけではなりません。
この場合には,強制執行を行うに先立ち,訴訟等の手続を経る必要があることになります。
建物の明渡の場合で,約束が守られない場合にすぐに強制執行を行いたい場合は,公正証書ではなく,即決和解等の手続を検討することになります。

公正証書2

法律相談等で,しばしば,公正証書を作成した方がよいかどうかを聞かれることがあります。

公正証書を作成するメリットの1つは,合意が有効に成立したかどうかが争われにくいというところにあります。
たとえば,私的に作った合意書の場合,この文書に署名・押印したことはない,この文書は偽造されたものであると争われることがあります。
たしかに,相手方の署名欄に勝手に名前を書いて,押印欄に近くの判子屋で買ってきた印鑑を押して,文書を偽造するということは,あり得ます。
このような争いになった場合には,筆跡鑑定等をして,合意書の署名と相手方の署名との同一性を確認しなければならないこともあり得ます。

他方,公正証書については,公証人が本人確認を行い,公証人が文面を読み上げる等した上で作成されます。
本人確認は,免許証等,顔写真のあるもので行われます。
代理人が作成する場合には,本人の印鑑証明書の提出が求められます。
公正証書の場合,このように,きちんと手続にのっとって作成されることから,有効性が強く担保されることになるのです。

公正証書1

離婚事件や相続事件を扱うと,公正証書を作成することがあります。
公正証書は,公証役場で公証人の関与のもとに作成されるものです。
公正証書を作成する場合には,内容に応じた手数料を払わなけれえばなりません。

公証人は,複数の案件を処理しなければなりませんので,事前に予約をとってから,相手方と一緒に公証役場に赴く必要があります。
また,事前に文案を作成し,公証役場に提出することを求められることもあります。

公正証書の文面については,少しの文言の違いで,法的な扱いが違ってくることがありますので,慎重に文案を作成する必要があると言えます。
たとえば,遺言で,不動産を「相続させる」という文言を用いた場合,相続登記手続については,不動産を取得することになる相続人が単独ですることができますが,不動産を「遺贈する」という文言を用いた場合,不動産を取得しない相続人の署名等をもらえなければ,登記手続ができないことがあります(遺言執行者を指定しない場合)。
文案の作成に当たっては,弁護士等の専門家に相談される方もいらっしゃいます。

在留許可

不法滞在の刑事弁護を受けると,強制送還された後に,日本に戻る方法がないか,質問を受けることがあります。

一般的には,一度強制送還されると,法律上,5年間入国することができなくなりますし,5年経過後であっても,入国が認められる可能性は,低くなります。

特別な事情がある場合(日本国内に未成熟氏がいる等)には,在留特別許可により,入国が認められるとされていますが,認められる可能性は極めて小さいです。

一般的に,在留関係を扱う弁護士は少ないですが,仕事の流れの中で,在留関係の質問を受けることは,時々あります。
書式自体は法務省のホームページにありますので,色々と参考になります。

サイトのリニューアル

松阪の過払いのサイトを,再度,リニューアルしました。
次は,会社設立,相続のサイトがリニューアル予定です。