日別アーカイブ: 2025年1月19日

相続時精算課税制度についての改正➁

相続時精算課税制度を利用した場合には、あらかじめ、相続時精算課税選択届出を行う必要があります。
この相続時精算課税選択届出については、提出の期限が存在します。
過去に受けた贈与について、期限までに相続時精算課税選択届出を提出していなかったのに、あとから相続時精算課税制度を遡って利用することは、できないこととなっています。

それでは、相続時精算課税選択届出の提出期限は、いつまでになっているのでしょうか?
贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までが、相続時精算課税選択届出の提出期間となっています。
このため、贈与を受けた年の翌年の3月15日までが、相続時精算課税選択届出の提出期限になります。
期限までに、贈与を受けた人の住所を管轄する税務署に相続時精算課税選択届出を提出する必要があります。
三重県ですと、贈与を受けた人が松阪在住でしたら、松阪税務署に相続時精算課税選択届出を提出することとなります。

それでは、贈与を受けた年のうちに、被相続人が亡くなった場合は、どうなるのでしょうか?
被相続人が存命でしたら、贈与の翌年の2月1日から3月15日までに相続時精算課税選択届を提出することができたはずですが、その前に被相続人が亡くなっているため、相続時精算課税選択届を提出しないまま、相続が発生していることとなります。
このような場合については、相続時精算課税制度を利用することができなくなってしまうのでしょうか?

このような場合であっても、被相続人が亡くなったあとに相続人の側で相続時精算課税選択届を提出することにより、相続時精算課税制度を利用することができることとなっています。
ただ、色々なルールを守って選択届を提出する必要が出てきます。

まず、相続時精算課税選択届の提出期限について、本来の提出期限よりも先に相続税の申告期限が到来するときは、相続税の申告期限が選択届の提出期限になります。
相続税の申告期限は、基本的には、被相続人か亡くなってから10か月後です。
たとえば、被相続人から2月に贈与を受け、3月15日に被相続人が亡くなった場合を考えたいと思います。
相続時精算課税選択届の本来の提出期限は、贈与の翌年の3月15日であったはずです。
しかし、相続税の申告期限が翌年の1月15日になり、翌年の3月15日よりも前に相続税の申告期限が到来することとなります。
このため、相続時精算課税選択届の提出期限は、翌年の1月15日までに短縮されることとなります。
この場合も、翌年の3月15日が相続時精算課税選択届の提出期限になると勘違いし、これを提出せずに翌年の1月15日が経過してしまうと、もはや、相続時精算課税制度を利用することができないこととなってしまいます。

次に、先述の理由から、相続税の申告期限が相続時精算課税選択届の提出期限になるときは、相続税申告の際、相続税の申告書に相続時精算課税選択届を添付しなければならないこととされています。

また、相続時精算課税選択届の提出先の税務署は、被相続人の住所地を管轄する税務署になります。
先述のとおり、通常ですと、贈与を受けた人の住所地を管轄する税務署が提出先になりますが、被相続人が亡くなったあとに選択届を提出する場合は、被相続人の住所地を管轄する税務署に提出先が変わってしまいます。

このように、被相続人の生前に相続時精算課税選択届が提出されていなかったときは、色々なルールを守って書類を提出する必要が出てきますので、注意が必要です。