日別アーカイブ: 2024年12月15日

相続時精算課税制度についての改正①

今年(令和6年)1月1日から、相続時精算課税制度の改正がなされることとなりました。

従来の相続時精算課税制度は、相続時精算課税選択届出書を提出することにより、相続時精算課税選択届出書を提出した年度以降は、累計2500万円まで、贈与税が非課税になる制度でした。
他方で、従来の相続時精算課税制度では、相続時精算課税選択届出書を提出した年度以降になされた贈与については、全額が相続税の課税対象とされてしまいました。
従来は、提出した年度までは何年でも遡って、全額が相続税の課税対象となってしまっていましたので、メリットが小さく、相続税の負担がむしろ増加してしまうこともある制度であると考えられていました。

この相続時精算課税制度が、改正により、大きくルールが変わることとなりました。
最も大きいと考えられる変更点は、相続時精算課税選択届出書を提出した年度以降は、年間110万円まで、基礎控除の枠が設定されることとなり、非課税とされたことです。
相続時精算課税制度を利用すれば、年間110万円までは、贈与税も相続税も課税されないこととなるのです。
また、年間110万円の基礎控除の非課税だけを利用したいと場合は、相続時精算課税選択届出書を提出する必要はありますが、その後の贈与税の申告は不要となりましたので、手続の負担もかなり少ないと言うことができます。

この改正ルールについては、今後、いわゆる生前の相続税対策で広く有効活用することができると考えられます。
相続時精算課税選択届出書を提出することにより、毎年110万円の非課税枠が設定され、資産課税の負担なく、少しずつ、相続税の課税対象となる財産を減らすことができるからです。
このため、今後は、いわゆる生前の相続税対策で、相続時精算課税制度が利用される場面が増えてくるのではないかと思います。
三重県の案件でも、このような改正ルールについてのご相談を受けることが増えてきているように思います。
とはいえ、まだまだ知らない方も多いと感じられるところではありますので、詳しいことをお知りになりたい場合は、お近くの専門家にご相談いただけましたらと思います。