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建物更生共済契約の契約者と掛金の負担者が異なる場合の相続税

1 建物更生共済と相続税
建物更生共済は、契約者名義の建物や家財について火災や自然災害による損害が生じた場合に、共済金の支払がなされる共済契約です。
機能としては、損害保険と類似しています。

ただ、建物更生共済契約には、通常の損害保険と異なる部分があります。
通常の損害保険は、掛け捨てですので、解約したとしても解約返戻金がほとんど発生しないことが多いですし、満期が到来したとしても満期共済金の支払がなされないことが多いです。
他方、建物更生共済の場合は、解約すると解約返戻金を受け取ることができますし、満期が到来すると満期共済金を受け取ることができます。

このように、建物更生共済については、契約に基づいて一定の支払がなされるという意味において、資産性があります。
このため、被相続人が建物更生共済の契約者になっていた場合には、相続税の課税対象になることとなります。
この場合、相続人は、仮に建物更生共済を解約したときには、解約返戻金を受け取ることができる法的地位を引き継ぐこととなりますので、相続時点の解約返戻金額について、相続税が課税されることとなります。

三重県の案件では、建物更生共済についても、極めて頻繁に登場しますので、注意が必要な財産になります。

2 建物更生共済契約の契約者と掛金の負担者が異なる場合
それでは、被相続人が、建物更生共済の契約者にはなっていなかったものの、建物更生共済の掛金の負担者になっていた場合には、どうなるのでしょうか?
上記と同様に、相続税の課税がなされることとなるのでしょうか?

生命保険の場合は、被相続人が、生命保険契約の契約者になっていなかったものの、生命保険料の負担者になっていた場合には、負担した割合に応じて、被相続人が契約者になっていた生命保険と同様の課税がなされることとなっています。

他方、損害保険の場合は、被相続人が掛金の負担者になっていた場合に、被相続人が契約者になっていた損害保険と同様の課税がなされると定めている規定は存在しません。
このため、被相続人が掛金の負担者になっていたに過ぎない場合は、ただちに、相続税の課税がなされるわけではないということになりそうです。
ただ、毎年、被相続人が支払っていた掛金について、被相続人から規定の契約者への贈与がなされていたのみであることとなります(このため、被相続人が亡くなる3年前から、被相続人が亡くなるまでに生じた掛金については、相続開始前3年以内の贈与加算の対象になります)。

もっとも、建物更生共済契約についての手続が専ら被相続人との間でなされており、契約者自身は、手続にはほとんど関与しておらず、契約内容すら把握していないような場合には、結論が異なってくるでしょう。
このような場合には、被相続人が契約者の名義を借りていたに過ぎず、実質的には被相続人が契約者であるとの判断がなされ、建物更生共済契約が相続税の課税対象になる可能性があるでしょう。