1 JA共済も相続税の課税対象になることがある
被相続人がJAに貯金を有していた場合には、被相続人がJA共済に加入していたかどうかを確認した方が良いでしょう。
三重県の相続税の案件では、JA共済に加入されている例も多いです。
JA共済は、組合員が共済掛金を拠出して共同の財産を準備しておき、不測の事故(死亡、入院、火災、自然災害等)があった場合には、共済金を支払うこととしているものです。
機能としては、保険と類似しています。
共済の加入の有無については、一定の書類を提出した上でJAに問い合わせを行うことで確認することができます。
また、通帳に共済掛金の引落の記載があれば、共済に加入している可能性があります。
被相続人がJA共済に加入している場合には、JA共済について相続税の課税がなされるかどうかに注意する必要があります。
どのような課税がなされるかは、共済の種類によって違ってきます。
以下では、相続税申告の場面で注意が必要なものをまとめたいと思います。
2 生命共済
被共済者が亡くなった場合に、共済金の受取人に共済金が支払われるものです。
生命保険と同様のものになりますので、生命保険と同様に相続税の課税がなされることとなります。
被相続人が被共済者になっており、被相続人が亡くなったことにより生命共済金の支払がなされた場合には、生命保険金と同様に相続税が課税されます。
したがって、相続人が共済金を受け取った場合には、500万円×法定相続人数までは相続税が非課税となりますが、これを超える場合は超える部分に限って相続税が課税されます。
相続人ではない人(相続放棄をした人を含む)が共済金を受け取った場合は、共済金の全額が相続税の課税対象になります。
他方、被相続人以外の人が被共済者になっている場合には、被相続人が亡くなった時点では共済金の支払がなされません。
ただし、生命共済契約を解約した場合には、解約返戻金を受け取ることができます。
このため、相続の発生により、仮に生命共済契約を解約すれば、解約返戻金を受け取ることができる地位を引き継いだものと評価されることとなります。
結局、生命保険契約に関する権利と同様、被相続人が亡くなった時点での解約返戻金額について、相続税が課税されることとなります。
なお、被相続人自身が共済の契約者になっていなかったとしても、共済の掛金を引落が被相続人の口座からなされていた場合には、上記と同じく、相続税が課税される可能性がありますので、注意が必要です。
3 医療共済
共済の契約者が一定の疾病に罹患したり入院したりした場合に、共済金の支払がなされるものです。
医療共済は、基本的には、共済の契約者自身が共済金を受け取る権利を有しています。
被相続人が医療共済の契約者になっており、医療共済金の受取人になっていた場合は、医療共済金は、被相続人自身の財産になります。
したがって、医療共済金は、一般的な財産と同様、相続の課税対象になります。
4 建物更生共済
建物更生共済は、共済の契約者名義の家屋や家財について、火災や自然災害による被害があった場合に、共済金の支払がなされるものです。
通常の損害保険とは異なり、解約すると、解約返戻金が返還され、満期になると、満期共済金の支払がなされます。
被相続人が建物更生共済に加入していた場合には、相続により、仮に建物更生共済契約を解約すれば、解約返戻金を受け取ることができる地位を引き継いだものと評価されます。
このため、生命保険契約に関する権利と同じ考え方により、被相続人が亡くなった時点での解約返戻金額について、相続税が課税されます。