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死亡の事実の証明1

遺産分割の案件では、相続関係を調査し、相続人を特定する必要があります。
相続人全員の合意のある遺産分割協議書が作成できなければ、法務局は不動産の名義変更を受け付けてくれないですし、銀行や証券会社も金融資産の払戻や名義変更を行ってくれません。
したがって、遺産分割の案件では、前提として、相続人を特定することが必要不可欠です。

そして、相続関係の特定は、ほぼすべての案件で、市町村役場が発行する戸籍によって行われます。
戸籍に何らかの記載があれば、その記載を前提として手続を進めなければなりません。

ここで問題となるのが、生存を確認できない人物が、戸籍上、生存していることとなっている場合です。
中には、間違いなく死亡したはずであり、親族もそのことを共通して認識している人物が、戸籍上、生存していることとなっていることがあります。
三重県の案件でも、国内最高齢に近い人物が、戸籍上は、生存していることとなっていた例がありました。

これは、戸籍上の事務処理の誤り等によって起きる問題です。
三重県ですと、津市について、戦災により戸籍が焼失した時期があるため、このような事態が生じることがあります。

このような場合であっても、戸籍上は生存していることとなっているのですから、生存していることを前提として手続を進めなければ、不動産や金融資産の手続を進めることはできないこととなります。
とはいえ、本人の生存を確認することができない状態であるわけですから、その人と遺産分割協議を行うように言われても、不可能な話です。
このような場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

1つ目の対処として、戸籍自体の記載を死亡に改めることが考えられます。
しかし、死亡の記載を行うには、死亡届を行う必要があります。そして、死亡届を提出する際には、医師の死亡診断書か警察の死体検案書を提出する必要がありますが、いつどこで亡くなったかが分からない場合や、古くに亡くなった場合には、これらの書類を提出することは不可能です。
死亡届以外に、戸籍訂正許可申立を行うことも考えられますが、家庭裁判所の許可を得る必要があり、そのためには死亡の事実を証明しなければなりません。
現実には、そもそも証明する資料がなかったり、あっても親族の証言だけであったりして、死亡の事実を証明することが困難なことが多いです。