相続人が2人で,遺産分割の結果,1人が遺産のすべてを取得し,もう1人が代償金の支払を受ける場合があります。
支払われた代償金については,税金上,相続により取得した財産に算入されることとなり,相続税が課税されることとなります。
上記と似たような例で,1人が遺産のすべてを引き継ぐ目的で,もう1人が相続放棄を行い,その代わりに解決金の支払を受ける場合があります。
いずれも,1人が遺産のすべてを引き継ぎ,もう1人が代わりにお金の支払を受けるという点では,同じであるということになります。
ところが,相続放棄を行い,代わりに解決金の支払を受ける場合には,相続放棄を行った人は,法律上,最初から相続人ではなかったこととなりますので,相続税が課税されることはないと考えられます。
それでは,相続放棄を行う代わりに支払われた解決金については,まったく税金が課税されないのでしょうか。
調べた限りでは,色々な考え方があるようですが,解決金が一時所得と扱われ,所得税が課税されるとする見解もあれば,実質的には贈与と扱われ,贈与税が課税されるとする見解もあるようです。
実のところ,弁護士として仕事をする中では,「解決金については,税金が課税されない」と説明することがあります。
たとえば,損害賠償金が解決金の名目で支払われる場合,損害賠償金については所得税等が課税されませんので,「解決金については,税金が課税されない」という説明を行うこととなります。
もっとも,厳密には,解決金は,解決金が支払われる実質的根拠を踏まえ,課税されるかどうかが判断されることとなっていますので,どのような場面であっても「解決金については,税金が課税されない」と判断することはできません。
想定外の課税がされたといった事態を避けるためにも,多額の支払を受けて和解を行う場合等には,一度,課税されるかどうかについて,確認を行うのが安全でしょう。