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土地の形状の把握

普段,土地を使用している分には,土地の正確な形状を把握しなければならないことは,それ程多くないと思います。
弁護士として,不動産の問題にかかわる場合や,税金の申告(相続税申告,贈与税申告等)のため,不動産の評価を行う場合には,土地の形状を把握しなければならないことがあります。

地籍測量が行われた土地については,現地へ行って,境界標等を確認すれば,境界がどこにあるかを確認することができます。

図面上で形状を把握したい場合は,最初に,地積測量図の有無を確認することが多いです。
分筆された時期が新しい土地等については,地積測量図が作成され,法務局で土地の図面を取得することができます。
法務局の登記情報提供サービスのホームページでも,1件当たり367円で地積測量図を取得することができます(松阪市にいながら,全国の土地の図面を取得することができます)。

地積測量図が作成されていない場合は,土地上の建物について,建物図面が作成されていないかを確認することが多いです。
建物図面で土地の形状が分かるのかと思われるかもしれませんが,建物図面には,建物の各階の形状だけでなく,土地上のどこに建物が建っているかも記載されています。
土地の形状が記載された図面の上に,建物の形状が記載されているのです。
このため,建物図面を確認すれば,それなりに正確な土地の図面を入手することができます。

建物図面も作成されていない場合には,基本的には,公図を参考にしていくこととなります。
ただ,公図については,宅地であっても,形状が歪んでいる場合等があり,信頼性が劣ると考えざるを得ない場合があります。
どうしても正確な図面が必要な場合には,幾分かの費用を支払い,測量を依頼することになると思います。

 

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不動産がある場所の特定3

不動産の所在場所を確認するに当たり,最も悩ましいのは,山林の場合だと思います。
山林の場合,公図に書かれた形状,位置関係等は,多くの場合,まったくあてになりません。
登記簿に書かれた地積についても,三重県では,縄伸び,縄縮みが目立ち,正確な面積が記載されていません。

弁護士業務としては,林業を営んでいる場合でもない限り,山林の正確な位置を把握する必要があることは,あまりありません。
山林自体が放置されていることが多く,当事者の関心事になることが少ないからです。

他方,相続税申告に際しては,山林上に存在する樹木は,立木と扱われ,評価対象にしなければならないことがあります。
原野等が山林になってしまった場合や,いわゆる雑木林の場合は,仮に立木を評価したとしても,評価額が0円になってしまうことが多いと思いますので,あえて立木を評価する必要もないと思いますが,杉や檜等が生育している場合は,材木として売買されること等を想定し,評価を行う必要があります。
現に林業を営んでおらず,仮に林業を営んだとしても赤字になることが想定されるとしても,正面から評価を行わなければならないのです。
このため,山林の所在場所をある程度特定し,立木が評価の対象になるかどうか等の目星をつける必要があることになるのです。

山林の場合は,各都道府県で,森林簿,森林基本図等が作成されています。
三重県でも,県庁の森林・林業経営課の窓口において,これらの書類を交付してもらう必要があります。
森林基本図は,山林の境界が記載された図面です。
航空写真に境界が書き込まれているため,公図よりも正確に境界を把握することができます。
森林簿は,山林の所有者(県が把握している所有者)や,立木の樹種,林齢,材積等が記載されています。
厳密には,これらの情報も,必ずしも正確ではないとの説明がなされるところですが,立木の評価等に当たっては,こうした情報が重要な参考資料になることは確かだと思います。

森林簿や森林基本図の交付を受けるに当たっては,所有者自身か,所有者の関係者であることを証明する必要があります。
代理人として取得する場合には,本人の印鑑証明も必要になります。