離婚の際には,慰謝料や財産分与等,財産に関する取り決めを行わなければならないことは,広く周知されつつあります。
ただ,年金分割については,年金事務所へ出向いて手続を行わなければならない(代理人を立てない場合)等,特別な手続を行う必要があるためか,離婚に際して取り決めが行われないことが多いように思います。
年金分割は,配偶者の年金保険料の納付実績を分割する制度です。
相手方が厚生年金や共済年金に加入しており,自分より多い保険料を払っていた場合には,将来,相手方が受け取る年金が,自分が受け取る年金よりも多くなります。
この場合に,相手方が納付した年金保険料の一部を,自分が納付したものとし,将来受け取ることができる年金を多くする制度が年金分割です。
いわゆる3号被保険者の場合は,合意を行う必要はありませんが,そうでない場合は,離婚する夫婦間の合意により,分割割合等を決めることになります。
年金分割の手続を行うには,年金事務所に赴き,手続を行う必要があります。
このとき,離婚に際して作成した公正証書や,離婚調停の調書等,必要書類を提出する必要があります。
弁護士会の相談等では,しばしば,年金分割の手続の具体的な進め方について,質問されることがあります。