それでは,後見開始申立に必要となった費用について,精算を行うことはできないのでしょうか。
この点については,法律上,特別な事情がある場合には,成年被後見人(判断力が低下した人)の負担とすることができるものとなっています(非訟事件手続法28条)。
具体的には,成年被後見人に十分な財産がある場合等に,特別な事情があるものとして,成年被後見人が申立費用を負担すべきものとされています。
ただ,申立費用を成年被後見人の負担とするためには,裁判所の決定を得る必要があります。
成年被後見人に十分な財産があるからと言って,当然に,成年被後見人に申立費用分を請求することができるというわけではないのです。
また,申立費用の成年被後見人負担は,収入印紙代や鑑定費用等,限られたものについてのみ認められる者です。
たとえば,後見開始申立を弁護士等に依頼した場合に,弁護士費用を成年被後見人負担とすることができるかについては,厳しいと言わざるを得ません。