月別アーカイブ: 2012年 2月

遺留分2

遺留分減殺請求権は,いつまでも行使できるわけではありません。

 

遺留分減殺請求権は,相続開始等を知った時から1年間しか,行使することができません。

ただし,1年以内に,相手方に対し,遺留分減殺請求権を行使する意思を明らかにした場合は,1年経過後も,権利行使することができます。

 

また,権利を行使する意思を明らかにした場合であっても,相続開始から10年が経過すると,権利行使することはできなくなります。

 

ですから,一定の期間が経過すると,そもそも遺留分減殺請求権の行使を心配する必要はなくなるのです。

逆に,遺留分を行使する側の場合,我々弁護士は,1年以内に,遺留分減殺請求権を行使する旨の内容証明郵便を送付し,その上で,交渉を行ったり,遺留分減殺請求訴訟を提起したりするのです。

遺留分1

弁護士会等で相続の相談を受けると,遺留分はどうなるんでしょうかと質問される方が,時々いらっしゃいます。

遺言で,一部の相続人にすべての財産を相続させることとなっており,他の相続人が相続財産をほとんど受け継がないことになった場合に,他の相続人の側から遺留分減殺請求を行うことができるということは,一昔前と異なり,広く知られつつあるようです。

 

しかし,実際には,相続人であれば,誰でも遺留分減殺請求権を行使できるわけではありません。

 

たとえば,被相続人の兄弟姉妹については,法律上,遺留分は存在しません。

被相続人の兄弟姉妹から遺留分減殺請求権を行使されることは,あり得ないことなのです。

こちらのほうは,ご存知でない方も多いようで,弁護士会の相談等では,被相続人の兄弟姉妹からの「遺留分減殺請求」について相談される方が,しばしばいらっしゃいます。

特別受益証明書2

特別受益証明書を作成する意味は,次のようなものです。

 

相続に当たっては,様々な財産の名義を変更する必要があります。

たとえば,不動産の登記が代表例です。

 

しかし,相続人が複数いる場合は,誰が不動産を相続するかを特定しなければ,法務局で,不動産登記の名義を変更することはできません。

 

誰が不動産を相続するのかを特定する方法としては,遺産分割協議を成立させることが考えられます。

この場合には,法務局に遺産分割協議書を持参し,相続登記の手続を行うことになります。

 

それ以外の方法として,特別受益証明書を作成してもらい,他の相続人には,遺産分割で考慮されるべき相続分は存在しないと表明してもらうことも考えられます。

この場合には,他の相続人の特別受益証明書を持参することで,法務局で,相続登記の手続を進めることができます。

 

ですから,特別受益証明書に署名押印を求められているという場面では,弁護士としては,書かれている内容等を慎重に検討するようにお伝えすることになります。

(仮に署名押印したとしても,特別受益証明書の有効性自体を争う余地も,ないわけではありませんが。)

特別受益証明書1

「私は,被相続人○○の死亡による相続につき,生計の資本として被相続人から,すでに相続分相当額の贈与を受けており,相続する相続分のないことを証明します。」

 

遺産分割に当たっては,上記のような内容の特別受益証明書がやりとりされることがあります。

これは,相続人の1人が,亡くなった方から,生前にまとまった金銭を贈与してもらいましたよということを,証明するものです。

遺産分割の際には,生前贈与を受けた相続人が,相手方の弁護士等から,特別受益証明書に署名押印するよう求められることも,しばしばあります。

 

特別受益証明書には,「相続分のないことを証明します」といった文言も書かれています。

つまり,生前に贈与を受けおり,相続財産となるはずだったものを先取りしていますので,遺産分割で受け取るべき財産は存在しないと書いておくのです。

特別受益2

遺産分割に際し,特別受益として考慮されるものは,生計の基礎となる財産です。

 

生計の基礎となる財産ですので,多額の預貯金や不動産を贈与した場合は,特別受益と認められる可能性が高いです。

たとえば,弁護士会を通じて預金口座の取引履歴を開示してもらった結果,多額の贈与の存在が明らかになることもあります。

 

実際に,特別受益に当たるかどうか,争われる可能性が高いのは,たとえば,1か月に3万円等,定期的に少額の贈与がなされており,その期間が長期間にわたったため,全体として見れば,多額の贈与が行われたという場合です。

遺産分割審判等では,事案により様々な判断がなされていますが,一般的には,一回当たりの贈与額が少なければ,生計の基礎となる財産には当たらず,特別受益には該当しないと判断される傾向にあります。

特別受益1

亡くなった方が遺言を残していない場合は,遺産分割を行う必要があります。

遺産分割に当たっては,最初に,相続人の間で,相続財産をどのように分けるかについて話し合いを行います(遺産分割協議)。

話し合いで合意に至らなかった場合には,遺産分割調停・審判の手続を行うことになります。

 

これらの手続では,相続財産は,法定相続分に従って分けられることが多いです。

 

それでは,亡くなった方が,生前に相続人の1人に対して,土地等のまとまった財産を贈与していた場合は,どうでしょうか。

残った財産を法定相続分どおりに分けるとすると,贈与を受けた相続人は,相続財産となるはずだった財産を単独で先取りしたことになり,相続人間で不公平が生じます。

 

そこで,遺産分割に際しては,相続人の1人が,生前贈与された財産(特別受益)を考慮し,その分,生前贈与を受けた相続人の取り分を少なくするものとしています。

 

弁護士の仕事をしていると,特別受益が問題となる事案は数多くあります。

法律相談

松阪市へ,法律相談をしに行って来ました。

松阪市は,商人の町ということもあり,税金も絡んだ相談が,他の地域よりも多かったように思います。

弁護士も,贈与税・相続税の基本については,ある程度知っておいた方がベターであると,改めて感じました。

登記と管轄2

当法人は,津市に弁護士事務所があるため,例えば,伊勢市にある土地について登記を行うとなると,伊勢市の法務局まで1時間かけて移動しなければならないことになります。

時間が空いているときは,小旅行のような感じで,伊勢支局まで行くのもいいなと思いますが,忙しいときは,移動の時間がもったいなく思えてしまいます。

 

そのような場合には,直接法務局まで行くのではなく,郵送で登記申請の手続きを行うこともできます。

 

他にも,オンラインで申請することもできたりします。

ただ,聞くところによると数百万をかけて,弁護士事務所にシステムを導入しないといけないそうです。

登記と管轄1

不動産登記も,商業登記も,登記簿上の記載を改めるために,登記申請をするためには,法務局で手続きを行います。

 

とはいえ,例えば,県内に不動産があるからと言って,県内のどの法務局でも,登記申請の手続きができるわけではありません。

法務局には,管轄があり,土地ごとに,登記申請の手続きができる法務局が決まっています。

まず,商業登記については,津市の本局が,県全域の商業登記の申請を受けています。

これに対し,不動産登記については,津市の本局は,津市と亀山市のある不動産登記の申請しか取り扱っていません。

それ以外の地域にある不動産については,各地の支局や出張所で,申請の手続きを行うことになります。

例えば,松阪市にある土地の所有権移転登記を行う場合は,松阪支局で登記の手続きを行うことになります。

登記と弁護士

登記というと,一般には,司法書士の専売特許であると考えられる方も多いと思いますが,実際には,弁護士も,業として,登記に関する事務を行うことができます。

かつては,弁護士サイドで,登記は司法書士の仕事であるとして,登記を行う必要がある案件であっても,司法書士を紹介するという対応を行っていたことが多かったようです。

しかし,相続登記や売買契約の際の所有権移転登記等については,例えば,相続問題で法律相談を受けた弁護士が,登記申請まで行った方が,お客様にとっても,複数の専門家に相談せずに済み,便宜であるといえます。

(確かに,分筆登記等,測量が絡んでくる事案や,何重にも担保権が設定されている等,法律関係が複雑な事案については,慎重に対応せざるを得ないこともありますが・・・)

そうした考えからか,近年は,登記まで扱う弁護士も増えてきているように思います。

当法人も,登記申請だけの事案も,積極的に扱っております。
詳細は弁護士法人心のサイト(こちらをクリック)も御覧ください。