財産分与と税金2

ところで,財産分与の場面では,不動産が分与の対象になる場合,不動産に住宅ローンが残っていることが多々あります。
財産分与の場面では,不動産を相手方に譲り渡すとともに,住宅ローンについても,今後,不動産を受け取った相手方が支払うものとすることがあります。
また,不動産は相手方に譲り渡すものの,住宅ローンについては,継続して不動産を譲り渡した側が支払うものとすることもあります(弁護士が入る事案でも,養育費の代わりに,今後も住宅ローンを支払ってもらうこととすることが,しばしばあります)。

このような場合,譲渡所得税の負担はどうなるのでしょうか。
譲渡所得税の計算方法は,「(譲渡金額-取得費-譲渡費用)×税率(5年以上なら,合計20%)」です。
このうち,譲渡金額は,財産分与の際の不動産の時価になります。

不動産を譲り受けた側が,今後,住宅ローンを支払うこととする場合,相手方は,住宅ローンの負担がついた不動産を譲り受けたことになります。
負担については,不動産の時価から差し引かれることとなりますので,この場合,譲渡金額は,「不動産の時価-住宅ローンの残額」とされることとなります。
松阪市の案件の場合,住宅ローンの残額が不動産の時価を上回ることが多いように思いますので(土地の評価額が跳ね上がることが少ないため),譲渡金額が0円になり,譲渡所得税がかからないことが多いように思います。

他方,不動産を譲渡した側が,今後も継続して住宅ローンを支払っていく場合,不動産を譲り受けた側は,財産分与としては,なんらの負担もなく不動産を取得することとなります。
この場合は,譲渡金額は,「不動産の時価」そのものになります。

このように,今後の住宅ローンの支払方法次第で,譲渡所得税の金額が変わってくることもありますので,やはり,弁護士としては,調停条項を組む前に,シミュレーションをすることが必要であるように思います(実際には,後日述べる理由から,結局,譲渡所得税の課税がされないことも多いですが)。

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