公正証書を作成するメリットは,もう1つあります。
お金を払ってもらう内容の公正証書については,「直ちに強制執行を受けても異議のないことを承諾する」等の文言を入れることにより,相手方が支払わなかった場合には,強制執行の申立を行うことができます。
私的な合意書の場合,合意書を交わしただけでは,すぐに強制執行の申立を行うことができるわけではありません。
強制執行申立を行うためには,裁判所で,和解金支払請求訴訟等を提起し,判決等をもらう必要があります。
これに対して,公正証書の場合,裁判所で判決等をとらなくても,強制執行の申立を行うことができ,時間的にも費用的にも節約ができることになるのです。
ただし,お金を払う内容の公正証書ではない場合(建物を明け渡す等)については,公正証書を作ったからといって,すぐに強制執行を行えるわけではなりません。
この場合には,強制執行を行うに先立ち,訴訟等の手続を経る必要があることになります。
建物の明渡の場合で,約束が守られない場合にすぐに強制執行を行いたい場合は,公正証書ではなく,即決和解等の手続を検討することになります。