明示的に被相続人の財産や債務を引き継ぐ意思を表示しなくても,法律上当然に,単純承認をしたものと扱われる,相続放棄ができなくなってしまうことがあります。
これを法定単純承認事由といいます。
法定単純承認事由には,様々なものがあります。
中でも,代表的なものは,相続財産の全部または一部を処分したときです。
ですから,相続財産の一部を売ったりした場合には,単純承認したものと扱われ,相続放棄ができなくなってしまいます。
注意しなければならないのは,預貯金の払戻しも,単純承認に該当する可能性があるということです。
弁護士として,相続放棄の相談を受けた場合には,相談される以前に,法定単純承認事由に該当する行為を行っていないかを確認することが,必要不可欠です。
もちろん,弁護士からは,以後,単純承認事由に該当する行為をしないよう注意してくださいということも,お伝えします。