法定相続情報証明制度2

法定相続情報証明制度が導入されて3か月ほどが過ぎましたが,まだ,この制度を利用する機会がありません。

現時点では,相続税申告については法定相続情報証明制度を利用することができないようです(三重県内の税理士会の研修会で,このことに言及されたことがあったそうです。)。
預金払戻しの際,法定相続情報証明制度の利用を認めるかどうかについては,各金融機関で対応がばらばらのようです。

個人的には,法定相続情報証明制度を利用したとしても,結局は,相続関係を特定する戸籍一式を収集しなければならず,手続の手間は,これまでとそれ程変化がないように思います。

制度の導入に際しては,金融機関によっては戸籍一式の原本を還付しないことがあるため,何度も戸籍一式を集めずに,複数の相続手続を進めることができるとの説明がなされていたようです。
もっとも,現実には,ほとんどの金融機関が,戸籍一式を提出した場合であっても,戸籍一式を還付してくれますので,この点でも,あまり利点が生じていないのが実情であるように思います。

個人的には,今後,法定相続情報証明制度を利用することがあるとすれば,戸籍一式等の原本を基本的に還付してもらえない手続で,戸籍一式の代わりに法定相続情報証明を提出するという利用方法になるのではないかと思います。
思い当たる場面としては,特定の相続人以外が相続放棄の申述を行い,その後,特定の相続人が預金払戻し等の手続を行う場合です。
この場合,相続放棄の手続のため,家庭裁判所に戸籍一式を提出する必要があるとともに,預金払戻しのため,金融機関に対しても戸籍一式を提出する必要があります。
そこで,戸籍一式の代わりに,法定相続情報証明を提出することとすれば,複数回戸籍を取得しなくても済むこととなりそうです(もっとも,このような理由から相続放棄が行われるのは,やや例外的であると思います。)。

Notice: This work is licensed under a BY-NC-SA. Permalink: 法定相続情報証明制度2