弁護士に対して,投資用マンションの購入の勧誘が行われることが,しばしばあるようです。
弁護士会の名簿等で弁護士の連絡先を確認し,各弁護士に営業電話を行うというパターンが多いようです。
私自身も,勧誘の電話をいただいたことがあります。
話を聞く限りでは,投資用マンションとは,ローンを組んでマンションを購入し,購入したマンションを第三者に賃貸するものであるようです。
第三者から賃料を受け取り,賃料の一部をローンの返済や経費の支払に充て,余った分が不労所得となるという仕組みであるようです。
確かに,十分な賃料を受け取ることができるのであれば,その分収入が増えますので,利益が生じることとなるでしょう。
ただ,10年単位で見れば,マンションは徐々に老朽化し,賃料額が減少する可能性があります。
そもそも,購入したマンションを賃借してくれる人がいるかという問題もあるように思います。
賃料収入が減少したり,なくなったりすると,結局,ローンの返済だけが残ってしまい,損失だけが生じることになりそうです。
このような話をすると,生じた損失は,本業(弁護士業)の収入から引き算できるという答えが返ってくるようです。
確かに,不動産所得は,損益通算の対象になりますので,経費を差し引いて生じたマイナスは,給与所得や事業所得から差し引くことができます。
ただ,不動産所得から引き算できる経費は,正確には,ローンのうち,利息相当分だけです。
たとえば,毎月10万円のローンを返済し,そのうちの3万円が利息である場合,毎月10万円が消えていくのに対し,経費として扱われ,引いては,損益通算により,給与所得や事業所得から引き算することができるのは,利息分の3万円だけに過ぎません。
また,損益通算により所得税が減ったとしても,それ以上の額がローンの支払で消えていくことになりますので,入居者がいなくなった場合,トータルではマイナスになることは確かです。
このように考えると,入居者が入る可能性,賃料の変動の予想等を踏まえ,賃料収入の期待値を算定し,投資を行うかどうかを決める必要があることとなりそうですが,私にとっては専門外の部分ですので,検討しないこととしました。