秘密証書遺言1

弁護士業務の中で,最近,秘密証書遺言について調査することがありました。
遺言には,自筆証書遺言と公正証書遺言,秘密証書遺言等の方式があり,いずれかの方式に従わなければ,有効な遺言を作成することができません。
大部分の遺言は,自筆証書遺言か公正証書遺言で作成されており,秘密証書遺言が登場することは,ほとんどありません。
そこで,後日,秘密証書遺言についての相談を受ける場合に備え(ないかもしれませんが),秘密証書遺言に関することをまとめておきたいと思います。

秘密証書遺言を作成する場面については,次のように説明されます。
遺言者が,相続開始まで,遺言の内容を秘密にしておきたいと思うことがあります。
公正証書遺言を作成する場合は,証人2人の面前で,遺言者が遺言内容を口授し,公証人が遺言者に遺言内容の読み聞かせを行うという流れで,作成されることとなります。
このように,公正証書遺言の場合,証人が立ち会うことになりますので,証人を介して,関係者に遺言の内容が伝わる恐れがあります。
そこで,遺言者が遺言書に封を施し,遺言内容を秘密にしておき,公証人と証人には遺言書が封入されていることだけを確認してもらうこととしたものが,秘密証書遺言です。

もっとも,公正証書遺言の場合も,証人を準備できない場合,公証役場に証人を準備してほしいとの申出を行い,公証役場の側で,司法書士・行政書士等に対し,証人となることを依頼するというシステムを利用することができることがあります(ただし,証人に対しては,5000円~1万円の費用を支払う必要があります)。
通常,司法書士・行政書士等は,無関係の第三者でしょうから,このような形をとれば,公正証書遺言の中身を,事実上,秘密にしておくことができることとなります。
ですから,個人的には,秘密にしておきたいという理由で,あえて秘密証書遺言を作成する必要は,薄れてきているように感じます。

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