登記簿上の住所1

遺産分割の件を扱う場合は,協議書や調停調書をまとめる際,登記ができるものになっているかどうかを確認しておく必要があります。
遺産分割のゴールの1つは,名義変更を行うことです。
弁護士として事件にかかわる以上,ゴールまでの道筋に関与するのが求められるところだと思います。

相続の登記を行うに当たり,しばしば問題となるのが,登記簿上の名義人と被相続人が,同一人物かどうかということです。
当事者や事件を進める側からすると,同一人物であることは当たり前だと言いたくなることもある部分ですが,登記を行う場合には,同一人物であることが間違いないという確証を示さなければならないのです。

登記簿上の名義人と被相続人が同一人物かどうかを判別する重要な要素は,住所です。
登記簿をご覧になると分かりますが,登記簿には,名義人の住所が記載されています。
登記簿上の住所は,基本的に,住民票等の住所が記載されることとなります。
たとえば,名義人が土地を取得したときに,その時の住民票等を提出し,住民票等に記載された住所が登記簿に記載されることとなるのです。
その後,名義人が住所を変更した場合には,新住所の住民票等を提出し,住所変更の登記申請を行い,新しい住所を登記簿に反映することとなるのです。

このように,住所が変更される毎に,住所変更の登記の手続を行えば,結局,被相続人の死亡時点の(住民票等の)住所と登記簿上の住所が一致することとなります。
この場合は,住民票等を提出すれば,被相続人と登記簿上の名義人が同一人物であるということが分かりますので,相続の登記を進めることができることとなるのです。

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