不動産がある場所の特定3

不動産の所在場所を確認するに当たり,最も悩ましいのは,山林の場合だと思います。
山林の場合,公図に書かれた形状,位置関係等は,多くの場合,まったくあてになりません。
登記簿に書かれた地積についても,三重県では,縄伸び,縄縮みが目立ち,正確な面積が記載されていません。

弁護士業務としては,林業を営んでいる場合でもない限り,山林の正確な位置を把握する必要があることは,あまりありません。
山林自体が放置されていることが多く,当事者の関心事になることが少ないからです。

他方,相続税申告に際しては,山林上に存在する樹木は,立木と扱われ,評価対象にしなければならないことがあります。
原野等が山林になってしまった場合や,いわゆる雑木林の場合は,仮に立木を評価したとしても,評価額が0円になってしまうことが多いと思いますので,あえて立木を評価する必要もないと思いますが,杉や檜等が生育している場合は,材木として売買されること等を想定し,評価を行う必要があります。
現に林業を営んでおらず,仮に林業を営んだとしても赤字になることが想定されるとしても,正面から評価を行わなければならないのです。
このため,山林の所在場所をある程度特定し,立木が評価の対象になるかどうか等の目星をつける必要があることになるのです。

山林の場合は,各都道府県で,森林簿,森林基本図等が作成されています。
三重県でも,県庁の森林・林業経営課の窓口において,これらの書類を交付してもらう必要があります。
森林基本図は,山林の境界が記載された図面です。
航空写真に境界が書き込まれているため,公図よりも正確に境界を把握することができます。
森林簿は,山林の所有者(県が把握している所有者)や,立木の樹種,林齢,材積等が記載されています。
厳密には,これらの情報も,必ずしも正確ではないとの説明がなされるところですが,立木の評価等に当たっては,こうした情報が重要な参考資料になることは確かだと思います。

森林簿や森林基本図の交付を受けるに当たっては,所有者自身か,所有者の関係者であることを証明する必要があります。
代理人として取得する場合には,本人の印鑑証明も必要になります。

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