不動産等の財産を贈与した場合,多額の贈与税が課税されることは,広く知られていると思います。
たとえば,2000万円の不動産を贈与した場合,単純計算で,720万円もの贈与税が課税されてしまいます。
相続税対策のため,自分が所有している財産を減らしたい,そのために,自宅不動産を親族に贈与したいという相談は,弁護士会の相談等でも受けたことがあります。
私が相談をお受けする中でも,相続税の増税の影響から,相続税対策への関心が高まっていると感じる場面です。
とはいえ,親族が受け取る場合であっても,贈与である以上,多額の贈与税が課税されることとなります。
相続税対策のため,多額の贈与税が課税されることとなっては,元も子もありません。
そこで,贈与税の課税を避けつつ,財産を親族に移転する方法がないかという話になるのです。
贈与税を軽減する規定で,金額的に大きいものに,配偶者控除があります。
これは,婚姻期間が20年以上に達した夫婦の間で,(夫婦の)居住用不動産を贈与する場合に,2000万の非課税枠が設けられるというものです。
暦年課税の場合,毎年の110万円の基礎控除と合わせると,(夫婦の)居住用不動産が2110万円以下であれば,贈与税が課税されないこととなるのです(居住用不動産以外に贈与が行われていないことが前提です)。
配偶者控除は一生に1回しか使えませんが,金額が大きいため,非常に強力な手段になるのです。
この特例を使う場合は,贈与税の申告期限(3月15日)までに申告を行う必要がありますので,注意が必要です。
また,贈与税以外の税金(登録免許税,不動産取得税)が課税される点も,注意が必要です。