遺産分割協議後の紛争1

弁護士等の専門家が関与することなく遺産分割協議を行った場合,後々問題が生じてくることがあります。
たとえば,相続人の一部を除外して遺産分割協議を行ってしまうことがあります。

本来であれば,遺産分割協議には,相続人全員が参加しなければなりません。
相続人の一部が相続放棄を行った場合には,相続放棄を行った人は最初から相続人ではなかったものとされますので,相続放棄を行った人を除いて遺産分割協議を行うことになります。
これに対し,相続放棄を行った相続人がいない場合には,たとえ相続財産は一切いらないと考えている人がいたとしても,相続人全員の参加の下,遺産分割協議を行う必要があります(名義変更や払戻に必要な印鑑証明書についても,相続人全員の印鑑証明書が必要になります)。

そして,相続人が被相続人の子のみである場合は,相続人が誰であるかが分かりやすいですが,被相続人の兄弟姉妹や甥姪が相続人に含まれる場合は,誰が相続人であるかが正確に把握できないこともあり,最初に相続人を正確に特定できなければ,後々大きな問題が生じてくることがあります。
ですから,相続人の特定に不安がある場合は,一度,相続関係を確認するため,戸籍を取得する必要があることになります。
戸籍につきましては,どのような場合であれ,被相続人の出生から死亡までの戸籍は必ず取得しなければなりませんので,多くの場合,現在戸籍だけでなく,過去の戸籍(改製原戸籍,除籍等を含む)も取得する必要があります。
こうした作業は,実際にやってみると大変ですが,後々問題が生じないようにするためには,必ずしなければならない作業であると言えます。

万一,相続人の一部を除外して遺産分割協議書を作成してしまった場合は,相続人全員の参加の下,再度,遺産分割協議をやり直す必要があります。

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